朝鮮王朝時代(1670年頃)
17世紀朝鮮のチャプチェ(雜菜) / Joseon Japchae
1670年頃の朝鮮最古のハングル料理書『閨壺是議方』に記された、現代の春雨を使わない本来のチャプチェ。色とりどりの野菜、キノコ、細く裂いた肉をごま油と醤油で個別に炒め合わせ、出汁と味噌・小麦粉のとろみ餡をかける優雅な宮廷・両班料理です。

MODERN RECREATION
現代向け再現案
材料
作り方
- 鶏肉は沸騰した湯で中心部まで十分に火が通るまで茹で(中心温度75℃以上1分以上)、取り出して冷まし、手で細かく裂く。茹で汁は漉して150mLを取り分けておく。
- 乾燥きくらげはぬるま湯で戻し、石づきを除いて細切りにする。きゅうり、大根、椎茸、長ネギは約3〜4cm(原典に記された1寸)の細切りにする。
- セリと緑豆もやしは熱湯でさっと茹でて冷水にとり、水気をしっかり絞って長さを揃えて切る。
- フライパンにごま油と醤油を少量ずつ中火で熱し、色が濁らないよう、淡色の野菜(大根、もやし)→ 緑の野菜(きゅうり、ネギ、セリ)→ キノコ(椎茸、きくらげ)の順に、それぞれ強火で1〜2分ずつ手早く炒めて大皿に取り出す。
- 大皿の上に、個別に炒めた野菜・キノコと裂いた鶏肉を、色ごとに美しく並べる(またはふんわりと和えて盛る)。
- 小鍋に取り分けた鶏の茹で汁150mL、味噌小さじ2、醤油小さじ1を入れて火にかけ、煮立ったら水溶き小麦粉を回し入れてとろみをつけ、火を止めてごま油小さじ1を加える。
- 盛り付けた具材の上に温かいとろみ餡を回しかけ、仕上げにおろし生姜と挽きたての黒胡椒を振る。
HISTORICAL RECORD
歴史的な根拠・参考史料
参考史料は料理の歴史的背景を示すものです。現代レシピの分量や加熱時間を保証するものではありません。
史料に基づく記述
1670年頃に張桂香が著した『閨壺是議方(음식디미방)』に「잡ᄎᆡ(チャプチェ)」として収載され、きゅうり、大根、椎茸、松茸、石耳、緑豆もやしは生のまま細切りにし、桔梗、木耳、干瓢、ナズナ、セリ、ネギ、タラの芽、ワラビ、当帰の葉、冬瓜、ナス、キジ肉は茹でて細く裂く手順が明記されている。
各色の具材を細く1寸(約3cm)ずつに切り、それぞれの油醤油(ごま油と醤油)で個別に炒め、大皿に盛り、キジ肉の出汁と味噌、小麦粉を合わせた温かい汁(とろみ餡)を上からかけ、最後に生姜と胡椒を振りかけると記されている。
冬瓜はさっと茹でて用い、美しく色を出すために鶏冠花(ケイトウの花)や山葡萄の汁で赤く染める工程が記されている。
推定・解釈
- 原典に記された「진ᄀᆞᄅᆞ(チンガル)」は、文脈および当時の宮廷・両班料理におけるとろみ付け(누르미)の技法から「小麦粉(眞末)」を指すとする解釈が有力であるが、一部の研究書には「濃口醤油の粉末」とする異説もある。
- 「젼지령(チョンジリョン)」は、ごま油で炒めた醤油(煎油醤油)または清醤油(澄まし醤油)を指すと解釈される。
- 後世の食文化史では「青・赤・黄・白・黒」の五方色を具現化した料理と説明されることが多いが、原典の著者が五方色の概念を直接意識して定めたかは文献上断定できず、原典の記述は「各色(各素材)の色合いを保って炒め分ける」実用的な指示にとどまる。
- 現代のチャプチェの主原料であるサツマイモ澱粉春雨(唐麺)は、1919年に黄海道沙里院に唐麺工場が開設されて以降、1920〜30年代の料理書を通じて普及した近代の食材であり、17世紀の原典には一切存在しない。
現代向けの調整
- 原典に記されたキジ肉(生雉)は現代の家庭で入手が困難なため、鶏胸肉または鶏もも肉を代用品として使用する。
- 桔梗の根、トウキの葉、タラの芽、ナズナ、干瓢、松茸、冬瓜など、季節性や入手難易度の高い原典食材を省略し、一般的なスーパーで通年入手可能なきゅうり、大根、椎茸、きくらげ、セリ、ネギ、もやしに絞って家庭向けに簡略化している。
- 野菜を炒める具体的な順番(淡色から順に炒める)や加熱時間(1〜2分)は、家庭用フライパンで色合いを濁らせず仕上げるための現代向け調理設計である。
- 食品安全指引:鶏肉はカンピロバクター等の食中毒を防ぐため、中心温度75℃以上で1分以上十分に加熱すること。生肉を扱った包丁・まな板は熱湯消毒し、野菜への交差汚染を防止すること。
- アレルゲン情報:鶏肉、小麦、大豆(醤油・味噌)、ごま(ごま油)を含む。
参考史料・出典
- 閨壺是議方(음식디미방)「잡ᄎᆡ(チャプチェ)」出典を開く: https://ko.wikisource.org/wiki/%EC%9D%8C%EC%8B%9D%EB%94%94%EB%AF%B8%EB%B0%A9/%EC%A1%B0%EB%A6%AC%EB%B2%95
一次史料。1670年頃に張桂香が著したハングル最古の料理書。副食(饌品類)「잡ᄎᆡ」の電子翻刻本文を確認。慶北大学校図書館所蔵の原本写真資料および白斗鉉校訂版(2006年)を参照。原本実物の直接閲覧は未実施。
- USDA FSIS, Chicken from Farm to Table出典を開く: https://www.fsis.usda.gov/food-safety/safe-food-handling-and-preparation/poultry/chicken-farm-table
現代の公的食品安全基準。家禽肉の内部温度165°F(74℃)以上での加熱、生肉からの交差汚染防止、調理器具の洗浄消毒に関する指針を参照。
- 厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について」出典を開く: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html
現代の家庭向け食品衛生基準。鶏肉の中心部まで75℃以上で1分以上の十分な加熱、専用器具の使用または確実な熱湯洗浄消毒による二次汚染防止を助言。
画像の制作・出典情報
© History Meshi (AI-generated recreation image / AI生成による再現イメージ)
出典: Modern adaptation concept based on Eumsik Dimibang (c. 1670) / 『閨壺是議方(음식디미방)』(1670年頃)に基づく現代向け再現案の料理イメージ
利用許諾: Original site asset (not an actual cooking or historical source photograph / 実調理・史料写真ではありません)