イングランド・18世紀(1774年版)
ヨークシャー・プディング(ハンナ・グラス『The Art of Cookery』1774年版)
18世紀イングランドの料理書、ハンナ・グラス『The Art of Cookery Made Plain and Easy』(1774年版)の「A Yorkshire pudding」に基づく、牛乳・卵・小麦粉・塩の生地を肉の焼き汁で焼く記事です。史料に書かれた作り方と、現代のオーブン向けに設定した分量・時間を区別します。

MODERN RECREATION
現代向け再現案
材料
作り方
- 卵は洗わずに別の小さな器に割って殻を除き、ボウルに卵2個・牛乳250mL・塩1gを入れて混ぜる。生卵に触れた手と器具はすぐに洗う。薄力粉100gをふるい入れ、ダマが残らないように混ぜて、パンケーキ生地のような濃さにする(原典は小麦粉の量を記しておらず、粘度は目安)。室温で休ませるのは30分以内にし、それ以上かかる場合は冷蔵庫に入れる。
- オーブンを220℃に予熱する。オーブンで使える金属製の角型または丸型(18〜20cm程度)に牛脂またはラード30gを入れ、予熱中のオーブンで5〜10分温める。油脂が熱くさらさらになり、煙が出る前の状態にする。
- 厚手のミトンで熱い型を取り出し、跳ねに注意して顔や腕を離しながら、生地を一度に流し入れる(ジュッと音がする)。すぐにオーブンへ戻す。熱い油脂の跳ねやすさと型・取っ手の高温によるやけどに注意し、油脂に水をかけない。
- 25〜35分焼く。最初の20分は扉を開けない。縁が高く上がり、全体に濃い黄金色の焼き色が付き、中央まで固まったことを確認する(衛生上の基準として中心温度75℃で1分以上)。膨らみや焼き色は均一にならなくてよい。生地の中心が液状ならさらに数分焼く。
- 焼き上がったら型を傾け、余分な熱い油脂を耐熱容器へ注意して取り除き(原典も脂を切るとある)、すぐに皿へ滑らせる。無塩バター15gを小さな耐熱カップで電子レンジまたは湯煎で溶かし、中央に置く。熱い蒸気・油脂・型によるやけどに注意する。
- 調理後は室温に2時間以上(高温時は1時間以上)放置せず、残りは浅い容器に移して速やかに冷蔵(4℃以下)する。再加熱は中心温度75℃以上で1分以上にする。
HISTORICAL RECORD
歴史的な根拠・参考史料
参考史料は料理の歴史的背景を示すものです。現代レシピの分量や加熱時間を保証するものではありません。
史料に基づく記述
ハンナ・グラス『The Art of Cookery Made Plain and Easy』1774年版の第7章「Of Puddings」に「A Yorkshire pudding」が載る。牛乳1クォート、卵4個、少量の塩を使い、小麦粉でパンケーキ生地のような濃い生地にすると記される(小麦粉の分量は書かれていない)。
作り方は、火のそばで良い肉を焼いておき、シチュー鍋に肉の焼き汁(ドリッピング)を入れて煮立てたところへ生地を流し入れ、火のそばで焼く。ある程度焼けたら、天火皿に皿を逆さに置いて焼き汁が焦げないようにし、その上に鍋を置いて、焼いている肉の下から肉の脂が生地に滴り、火の熱も当たるようにして良い焼き色を付ける。
肉が焼き上がって食卓に出すときに、プディングの脂を全部切ってもう一度火にかけ、少し乾かしてから、できるだけ乾いた状態で皿に滑らせる。溶かしバターをカップに入れて、プディングの中央に置く。同書は「優れた良いプディングで、肉の肉汁がよく合う」と述べる。
推定・解釈
- 今回確認したのはWikisource上の1774年版の電子翻刻であり、1747年の初版や原版面との逐字校合は行っていない。1774年版はグラスの没後の版で、初版と本文が同一とは確認していない。料理名の起源や、より古い記録は今回確認していない。
- 小麦粉の分量は原典にない。「パンケーキ生地のように濃い」という粘度は解釈に幅がある。電子翻刻にある「night enough」は「nigh enough(十分近い)」の意と解されるが、翻刻や原文の揺れの可能性がある。
- 原典は肉を焼く火のそばで、鍋に肉の焼き汁を入れて焼く方法であり、家庭用オーブンの対流熱とは条件が異なる。本文には生地が高く膨らむ記述がなく、現代の膨らんだヨークシャー・プディングと同じ仕上がりかは、本文だけでは断定できない。
現代向けの調整
- 薄力粉100g・卵2個(殻付きで約120g)・牛乳250mL・塩1g・油脂30g・溶かしバター15gとした2〜3人分の未検証案である。原典の「牛乳1クォート・卵4個」を単純に縮小した比率ではなく、小麦粉の量は現代の家庭向けに設定した。肉は焼かず、肉汁(グレービー)は省略した。
- 家庭用オーブン220℃・金属製の18〜20cm角型または丸型で焼く案とした。準備10分、生地を休ませる時間30分以内(任意)、型の加熱5〜10分、焼成25〜35分は目安であり、焼き時間、膨らみ、焼き色、中心の固まり具合は調理未検証である。
- 食品安全上の注意(現代の助言):卵は洗わず冷蔵し、卵を含む生地は生焼けのまま食べない。中心温度75℃で1分以上の加熱を確認する(米国USDAの卵料理基準は71℃。本記事は5言語とも75℃・1分以上に統一)。卵料理や生地を室温に2時間以上(高温時は1時間以上)放置せず、残りは浅い容器で4℃以下に冷蔵し、再加熱は中心75℃以上にする。
- アレルゲンとやけど注意:卵・乳・小麦を含み、牛脂やラードは動物性油脂である。実際の製品表示を確認する。熱い油脂は跳ねやすく、型や取っ手も高温になるため、ミトンを使い、油脂に水をかけない。
参考史料・出典
- Hannah Glasse, The Art of Cookery Made Plain and Easy(1774年版)第7章「Of Puddings」「A Yorkshire pudding」(Wikisource電子翻刻)出典を開く: https://en.wikisource.org/wiki/The_Art_of_Cookery_Made_Plain_and_Easy_(1774)/Chapter_7
一次史料の電子翻刻。第7章「A Yorkshire pudding」(牛乳1クォート・卵4個・塩少々と小麦粉で濃い生地を作る、肉を焼く火のそばで肉の焼き汁を入れた鍋で焼く、肉の脂が滴る下に置いて焼き色を付ける、肉が焼けたら脂を切って皿に移し中央に溶かしバターのカップを置く、肉汁が合う)の全文を確認。1747年の初版や原版面との校合は未実施。1774年版はグラスの没後の版で、初版と同一の本文とは確認していない。
- USDA FSIS, Shell Eggs from Farm to Table出典を開く: https://www.fsis.usda.gov/food-safety/safe-food-handling-and-preparation/eggs/shell-eggs-farm-table
現代の卵の安全指針。卵は冷蔵し、白身と黄身が固まるまで加熱すること、卵を含む料理は内部160°F(71℃)、調理後は浅い容器で速やかに冷却して冷蔵、冷蔵卵を2時間以上放置しないこと、家庭で卵を洗わないことを確認。本記事では中心温度は5言語とも75℃・1分以上の目安に統一する。
- FoodSafety.gov, Safe Minimum Internal Temperatures出典を開く: https://www.foodsafety.gov/food-safety-charts/safe-minimum-internal-temperatures
現代の安全な内部温度の一覧。卵料理(フリッタータ、キッシュなど)は160°F(71℃)、生卵は白身と黄身が固まるまで加熱することを確認。
- 厚生労働省「家庭での食中毒予防」出典を開く: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html
現代の食品安全情報。ポイント2〜6の手洗い・調理器具の洗浄、中心部75℃で1分以上の十分な加熱、小分け冷却・冷蔵、十分な再加熱を確認。歴史的な調理条件ではない。
- FoodSafety.gov, 4 Steps to Food Safety出典を開く: https://www.foodsafety.gov/keep-food-safe/4-steps-to-food-safety
現代の衛生指針。Clean・Separate・Chill(4℃以下での冷蔵、室温2時間・高温時1時間超の放置回避)を確認。
- FDA, Food Allergies: What You Need to Know出典を開く: https://www.fda.gov/food/buy-store-serve-safe-food/food-allergies-what-you-need-know
現代のアレルゲン情報。卵・乳・小麦などの主要アレルゲンの表示確認に参照。各国で法的表示対象が異なるため実際の製品ラベル確認を求める。
画像の制作・出典情報
© History Meshi (AI-generated recreation image / AI生成による再現イメージ)
出典: Modern adaptation concept based on Hannah Glasse's The Art of Cookery (1774 edition) / グラス『The Art of Cookery』1774年版に基づく現代向け再現案の料理イメージ
利用許諾: Original site asset (not an actual cooking or historical source photograph / 実調理・史料写真ではありません)